全国新酒鑑評会は、毎年5月 に国税庁醸造研究所で行われる。 この研究所が平成7年に東京都北区滝野川から東広島市に移転し酒類総合研究所となった。平成7年と、終戦の昭和20年の2回を除いて、明治44年以来連綿と続いており、本年(H12年=2000年)88回目を迎えた。
この新酒鑑評会は、杜氏が精魂を込めて醸した吟醸酒の品質を競う唯―の権威ある全国大会である。各地域11の国税局で行われる地方予選を勝ち抜いた銘酒が一堂に会し、予審通過(銀賞)の中から結審で金賞が決定する。
本年(平成11酒造年度)の金賞受賞酒は、出品879蔵のうち219蔵(209銘柄)で、予審通週の銀賞酒は 210蔵 (197銘柄)という結果であつた。
本鑑評会での金賞受賞酒は、ウマいけれども個性に欠けるとも云われてきたが、ここで何回も金賞を受賞するということはその蔵元の実力と熱意を示すものと考えられる。
このような観点から、編者らは過去20回の全国新酒鑑評会の入賞データを県別に整理し、特に最近の10回については金賞受賞回数別に分類して、全体を把握できることを主眼に一覧表を作成した。 入賞以外の銘酒(銘柄)についても補足し、掲載銘柄数は 1,335種 、全国蔵元数の7割近くになっている。 また、戦前行われていた全国清酒品評会等で優秀な成績をおさめた銘柄を別枠で示し、歴史、製法、酒造好適米などの資料を加え、折りたたみのポケットサイズに纏めた。
本表は、毎回新酒鑑評会が終わる度に改訂し、発行を重ねている。 ウマ酒を追求される愛飲家諸氏にこ活用いただければ幸いである。
平成 12年 7月 編者 :堀井 秀治・塩田 耕三
【補 足】
酒造好適米は、食用米に比べて、コメ粒が大きく、心白率が高く、タンパク質含有率が少ない。吸水率が大きくもろみの中で溶けやすく、糖化性が良いなどの特徴を持つ。代表的な山田錦、五百万石などを筆頭に50種類にも上る。その全収穫量を足しても、日本酒造りに必要な全量の2割以下である。8割は食用自主流通米に頼らざるを得ない現実である。