全国新酒鑑評会は、毎年5月に国税庁醸造研究所で行われる。この研究所が平成7年に東京都北区滝野川から東広島市に移転し酒類総合研究所となった。引っ越しの同年は中止となったが、それ以外は終戦の昭和20年を除いて、明治44年以来連綿と続いて、本年(H10年)86回目を迎えた。
この新酒鑑評会は、吟醸酒の品質を競う唯―の権威ある全国大会である。各地域11の国税局で行われる地方予選を勝ち抜いた銘酒が一堂に会し、予選通過 (銀賞)の中から結審で金賞が決定する。
本年(平成9酒造年度)の金賞受賞酒は、昨年よりも40銘柄増えて、251銘柄 (264蔵 )、予選通週の銀賞 167 銘柄 (181蔵 )という結果であつた。
本鑑評会での金賞受寅酒は、何回も金賞を受賞するということはその蔵元の実力と熱意を示すものと考えられる。ウマ酒を求めるのんべいにとっては、最近の入賞実績が杜氏の技倆を推し測る一つの目安となることは否めない。
このような観点から、編者らは過去 20回の全国新酒鑑評会の入賞データを県別に整理し、 特に最近の10回については金賞受賞回数別に分類して、全体を把握できることを主眼に一覧表を作成した。入覚以外の地酒の銘酒を補足し、掲載銘柄数は 1,289種、全国蔵元数の6割近くになつている。 また、戦前行われていた全国清酒品評会等で優秀な成績をおさめたものは別枠で示し、他の参考資料を加えて、折りたたみのポケットサイズに纏めた。
本表は、毎回新酒鑑評会が終わる度に改訂し、発行を重ねている。 ウマ酒を追求される愛飲家諸氏にこ活用いただければ幸いである。
編者 :堀井 秀治・塩田 耕三
【補 足】
日本酒の全国大会として、1911年(明治44年)に第一回の「全国新酒鑑評会」を行っている。16年経過して1927年に吟醸酒が、手間暇を惜しまず献上酒として世に出された。その後の、大会の金賞受賞を目指して全国の蔵が競って最上級の酒を造り現在の高品質なお酒(吟醸酒)を提供している。そのお酒を今では、普通に頂ける幸運に恵まれている。ありがたいことである。